社内FAQにチャットボットを導入するメリットとポイント
多くの企業には管理部門、人事部門、総務部門、情報システム部門といった、いわゆる間接部門があり、これらの部門には日々、従業員から多くの問い合わせが寄せられています。
手続きの方法やフォーマットについての問い合わせや、制度に関する質問、イレギュラーな事例が起きた際の相談などなど。
なかには、マニュアルや社内ポータルを参照すれば解決するような簡単な問い合わせもありますし、同じような質問に何度も回答しなければならない煩わしさも生じてきます。
そこで、こうした問い合わせのうち、どうしても人手で対応しなければならないような複雑だったり難解だったりする問い合わせ以外は、人手を介さずに自動化しようというのが「社内FAQ」です。
本コラムでは、社内FAQの種類や、社内FAQが抱える課題、社内FAQをチャットボットで対応するメリットとポイントをご紹介いたします。
1、社内FAQとは
社内FAQとは、社内の従業員からのさまざまな問い合わせに人手をかけずに対応できるように準備された、よくある質問と回答の一覧のことです。
広い意味では、サポート部門など社外のお客様に対応する部門が、より専門的なスキルを持つ社内ヘルプデスク部門へ問い合わせる内容も含みます。
データベースなどにまとめておき、従業員がいつでもどこからでもアクセスして疑問を解消できるようにしたもので、問い合わせる側にとってもそれを受ける側にとっても利便性の高いものです。
社内FAQを運用することで、それまで問い合わせ対応に割いていた人的リソースを削減でき、ほかのもっと重要な業務に当てられるようになったり残業時間を抑制できるなどのメリットがあります。
社内FAQの種類
社内FAQには、具現化するツールによって「Excel(エクセル)ファイル」「FAQツール」「チャットボット」の3つに分けられます。
Excel(エクセル)ファイル
多くの企業で利用されているExcelを活用して社内FAQを実現する方法です。
使い慣れたExcelファイルに、よくある質問と回答を入力するだけで作成でき、手軽な点がメリットですが、ファイルを誤って削除してしまうといったトラブルには弱いというデメリットがあります。また、掲載する質問と回答の量が増えるとファイルが重くなり、保存や開くのに時間がかかるようになります。
FAQツール
FAQでの利用を想定して作られた専用ツールを活用して社内FAQを実現する方法です。
FAQに特化したツールだけあって、簡単に登録できて検索性が高く、データ量が増えても動作が安定しているなど、メリットの多い方法です。
逆に、導入にコストがかかったり、正しいキーワードでないと求める回答が得られないといった点はデメリットです。
チャットボット
チャットボットは、文字情報や音声情報を使って、あらかじめ想定した会話を元に登録された内容に沿って、ユーザーと会話するプログラムです。
FAQ以外にも活用方法はありますが、会話を通してユーザーの求める情報を提供するという特性はFAQとの親和性が高く、社内FAQとしての用途も多いです。
AIを搭載したタイプであれば、質問で使われる言葉にバラツキがあっても正しい回答を返すことができ、利用されるほど回答精度が高まるという特長があります。
デメリットとしては、導入コストがかかる点が挙げられます。
社内FAQの課題
社内FAQは便利なもので、対応者の手間ひまを削減してくれますが、課題がまったくないわけではありません。
それは、主に次の2点です。
社内FAQを用意しているのに参照してもらえない
社内FAQを運用しているにも関わらず、そちらを参照してもらずに、問い合わせ数が減らないという問題です。
原因として考えられるのは、従業員がどこに社内FAQがあるのか、そもそも存在していることすら知らないというケース、もしくは、社内FAQの使い勝手が悪かったり、求める情報が得られないなどの理由から「社内FAQは使えない」という認識が広がり、活用されていないというケースのどちらかであることが多いです。
従業員からの評判が良くない
上の理由とも近しい課題ですが、社内FAQが使いづらく、一応、利用されてはいるものの、不満や苦情が噴出するという問題です。管理者がきちんと更新していないために情報が古いというケースもこれに当たります。
どちらも、根本的な原因は管理者側の怠慢にありますが、Excelファイルやスペックの低いFAQツール、チャットボットで運用している場合、改善したくても実現できる機能がなかったり、手間がかかり過ぎたりするために諦めてしまっていることもあるでしょう。
そこで活用したいのが、AIを搭載した高性能なチャットボットです。
2、社内FAQをチャットボットでの対応にするメリット
「社内FAQの種類」でご紹介したように、社内FAQを実現する主な方法として、Excelファイル、FAQツール、チャットボットの3種類がありますが、なかでもチャットボットの活用がおすすめです。
その理由は、大きく次の2点です。
手軽に求める情報を得られる
ExcelファイルやFAQツールによる社内FAQを利用する場合、適切なキーワードで検索しないと求める情報にたどり着くことができません。
また、回答結果が複数表示され、その中からさらに適切なものを選んで表示させるフローになっているため、求める回答にたどり着くまでに時間がかかります。
チャットボットなら、あらかじめ用意された選択肢を選んだり質問したりするだけで求める情報にたどり着けます。
特に、AIを搭載しているチャットボットなら、回答に結び付くキーワードの範囲に幅を持たせられるため、キーワード選びに悩むことなく欲しい答えを得ることができます。さらに、学習により使い続けるうちに回答精度が上がるという特長もあります。
また、スマートフォンやタブレット、PCのいずれからも、いつでもどこからでも利用できるため、手軽に欲しい情報にアクセスできます。
継続的な改善が行いやすく、利用率を上げやすい
これは、必ずしもチャットボットだけに限ったメリットではなく、また導入するチャットボットによっては当てはまらないケースも出てきますが、分析機能付きのチャットボットでは、利用回数や回答内容などの履歴を分析することができます。そのため、回答の精度を高めたり利用率を向上させるための改善につなげたりしやすいです。
3、社内FAQにチャットボットを導入する際のポイント
では、実際にチャットボット活用して社内FAQを運用することになった場合、どんなポイントに注意すれば成功させられるのでしょうか?
チャットボットへインプットするFAQコンテンツを精査しておく
社内FAQにメリットの多いチャットボットですが、万能ではありません。
インプットするFAQコンテンツの質によって社内FAQとしての成否も分かれてきます。
そのため、まずはチャットボットへインプットするFAQコンテンツを精査しておくことが大切です。
既存の社内FAQがあれば、利用結果やアンケート調査結果などを分析し、求める情報をより得やすくなるように質問と回答を調整しておきましょう。
アクセスしやすい導線や周知、継続的な改善で利用を促進する
チャットボットによる社内FAQを導入したらまず、社内ポータルなど従業員が一日に一回はアクセスするような接触頻度の高い場所に入り口を設け、社内FAQを設置したことを社内に周知して、利用促進に努めましょう。
さらに、利用状況を分析し、回答精度や利用率を向上するための改善を図ることで、「使える社内FAQ」の地位を築いていきましょう。
社内FAQで回答が得られなかった場合に、担当者へつなぐ導線を設けておく
社内FAQを参照しても解決できない、難易度が高かったり複雑だったりする質問もあるでしょう。そのような場合でも、きちんと疑問を解消できるよう、有人切り替えができる仕組みを作っておくことが大切です。
導入するチャットボットを選定する際は、スムーズに有人切り替えができるかどうかもチェックしておきましょう。
4、まとめ
社内FAQの実現方法には主に、Excelファイル、FAQツール、チャットボットの3種類がありますが、回答を得るまでのステップが少なく、どこからでもアクセスしやすいチャットボットに軍配が上がります。
特にAIを搭載したチャットボットなら、ある程度、質問に用いるキーワードが曖昧でも求める回答を表示してくれ、使い続けるうちに回答精度が上がるというメリットがあります。
チャットボットを活用して社内FAQを運用するなら、あらかじめ登録するFAQコンテンツを精査して回答精度を高め、導入後も継続的に改善を加えて利用者の満足度や利用率を向上させましょう。
執筆者情報:
CTC Benefitter(ベネフィッター) 開発チーム
CTC コミュニケーションデザイン部 CXソリューション第3課
社内業務のDXを推進するサービスとして豊富な機能と様々なシステム・WEBサービスとの連携を可能とした AIチャットボット Benefitter を提供しています。チャットボットの活用方法や導入事例を伝えていくため、情報を発信しています。