チャットボットをマーケティングに活用できる7つのシーン(2/2)

2020年9月3日
SNSチャットの自社アカウントや自社Webサイトにボットを設置することにより、マーケティングや営業活動の効率化に役立てることができます。本記事は前回の続きです。

(4)興味に合わせた配信

ダイレクトメールの開封率が低いようにチャットツール(SNSメッセンジャー)を使った通知も必ずしもエンゲージが高いわけではありません。また興味のない通知が連続するようだと「ブロック」されてしまうことも多く、そうなるとそのユーザーにコンタクトする術を失うことになります。そこで、前回の記事「(3)情報収集」を活用して、ユーザーを徹底的にパーソナライズした対応を心がけることが重要になります。

飲食店において「2度目の来訪になるお客様を覚えておいて対応する」ことがリピーター獲得のために重要なアクションとなりますが、チャットボットを利用すれば、同様に一人一人のユーザー行動を記憶してきめの細かい対応ができるようになります。各ユーザーの会話ログの集積と商品やサービスやキャンペーンのターゲットをマッチングして、相関の高いユーザーにだけ該当の話題を通知したり会話に誘導しましょう。

図1はあるサービスと相関の高いユーザーを絞り込んでボットからキャンペーンを配信した例です。

図1 絞り込んだボット配信によるエンゲージ率

 

この例では最後にランディングページに29%を送客できていますが、これはボット会話のライティングによるところも大きく、必ずしもチャットボットのパーソナライズだけの効果ではありません。どちらかといえば最初のエンゲージ(会話継続)が約47%となっているところ、またブロックが0件だったところにチャットボットでの絞り込み配信の効果が良く表れています。

確率論的に言えば、図1の例でエンゲージしたユーザーは、より荒い条件でセグメントされた集合にも存在していたはずなのでエンゲージの実数としては荒いセグメントでの配信時と効果は変わらなかったかもしれません。しかし、その場合はマッチしない広告を受信する他のユーザーも多かったことになり、ブロックユーザーを増加させていたかもしれません。広告費をかけてアカウントに集客しているような場合はブロックユーザーはそのまま損失となってしまうので避けられるなら避けたいところです。

徹底的なパーソナライズのためには「(3)情報収集」でのユーザー情報の計画的かつ継続的に蓄積も重要なので、導入時には併せて検討しておくことが重要です。

(5)予約・購買にコンバートするためのレコメンド

ユーザー情報からボットの会話シナリオを分岐させてクロスセルやアップセルを試みたり、キャンペーンやクーポンの利用を示唆することができます。ECのWebサイトやアプリケーションでは既に実装されている機能ですが、チャットボットではインタラクティブな応答が可能なので、より高度な接客を試みることができます。商品・サービス、キャンペーンに関する問合せに自動応答させたり、蓄積したユーザー嗜好やリアルタイムに表示する選択肢で会話を継続して適切なレコメンドへ導くこともできます。

また、ユーザーの問合せ・閲覧状況をモニターしたチャットボットに、人間のオペレーターへの接客を奨めさせることもできます。ユーザーインターフェイスはチャットのままなのでユーザー側にも違和感がありません。最終的に商品を購入させる力はやはりまだ人間の方が高いため、購買意欲の高まりをユーザー行動ログからスコア化して優先的にオペレーターへエスカレーションできれば、商品販売機会は高まります。チャットボットにはユーザーの商品・サービスのブラウジングの自動ナビゲーションを担当させ、購買確度が高まった段階で人間に引き継ぐ、という役割分担は有効です。

(6)サポート

チャットボットが最も活用されているのがユーザーサポートの領域です。チャットボットをサポートに適用する効果は、主に下記の点にあります。

  • 通話中で問い合わせを諦めるユーザーの救済
  • 24時間365日自動応答
  • 「よくある質問と回答」からのオペレーターの解放

既にWebサイト上にFAQを掲示している場合やサイト内検索を設置してある場合は、サポート用にチャットボットを設置しても最初の利用率は10%にも達しないことがあります。しかし、ボットを活用する方が便利なことをユーザーが体感していくことにより徐々に利用率が上がっていき、上記の効果による業務効率化やユーザー満足向上が実現できます。

また、サポートは商品・サービス販売のきっかけにもなります。ユーザーの質問ログと購買履歴などから、当該ユーザーの状況やニーズを分析して関連商品のレコメンドを行うことができます。ユーザーサポート用のチャットボットとマーケティング用のチャットボットは別のカテゴリのサービスの様に考えられがちですが、実際には同一のプラットフォーム上にそれぞれのボットを構築してユーザー情報を共有した方が相乗効果を期待できます。

(7)リテンション

ユーザーが一定期間以上サイトにアクセスしてこなくなった場合、再利用を促す通知を行う必要がありますが、この場合も「(4)興味に合わせた配信」同様、個人別のきめ細かいマッチングと配信戦略が必要です。

また、かつての興味への関心が薄れたからこそサービス利用に飽きてしまっている可能性もあるため、過去の情報だけでは有効な刺激にならない可能性があります。そこで「(2)情報提供」のノウハウも活用し、ネットや自サイトのトレンドなど新しい情報も提供するとともに、「(3)情報収集」の機能も使ってインセンティブ付きのアンケートなどで現在の興味を確認することも重要です。ユーザーの呼び戻しに関しては、紹介してきた(1)~(6)までのす全てのノウハウを活用する必要があります。

リテンションも含めて、前回と今回の記事で紹介してきた各活動について、全ユーザーに人間のマーケターだけで対応することは現実的ではありません。このジャンルではパーソナライズと自動条件処理に長けたマーケティング・オートメーションの利用も盛んですが、さらにチャットボットの利活用をプラスすることにより、ネットマーケティングの効果を増幅させることが可能です。

プロフィール

TM
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ボットフィッター。エンジニアではなくフロントからバックオフィスまでの幅広いビジネス経験を活かした各種ボットの企画提案から導入運用までサポート。ECサイトにおける接客ボット、社内人材情報解析照会ボット(人探しボット)、問い合わせ自動応答ボットなど。