ビッグデータの利活用とチャットボット

2020年7月14日
ビッグデータの利活用とチャットボット

ビッグデータ利活用の課題

ECや電子決済が盛んな現在、企業が効果的なマーケティングを行うには大規模な顧客行動データの解析が欠かせません。また、様々な機器のログや人のアクションをデータ解析することによって製造業やサービスの業務効率化に役立てることも可能です。
これらのビッグデータを企業が活用する際にボトルネックになるのがデータ分析担当(データアナリスト)の業務量です。

事業上の仮説を検証して課題を抽出できる優れたビジネス担当がビッグデータを利用するには、統計分析のためのビジネスインテリジェンス(BI)ツールと、それを使いこなすデータ分析担当(データアナリスト)の存在が必要です。

データ分析担当が仲介していることによって、ビジネス担当は「先月投入した新型製品のネット販売実績を昨年の旧型の出足を比較して、差があった場合にユーザーアンケートの比較から要因を抽出してみて」と日本語での問いを出すことができます。忙しいビジネス担当が慣れないシステムインターフェイスや統計解析手法を習熟するのは現実的ではないので、この点はメリットです。

一方で、質問を受けたデータ分析担当(チーム)には人数にも時間にも限りがあり、複数の部署の様々な問いにすぐに答えることができません。ビジネス上の仮説やアイデアはリアルタイムに検証しないと機会損失を招くこともあるため、ビジネス担当者が直接かつ早く解析結果を入手することが重要です。それにも拘わらず、その専門性からデータ分析担当に依存せざるを得ず、簡単でよくある分析要望でも待たされてしまうことがあり、問題になりがちです。

データ分析担当の負荷を減らす

深層学習(ディープラーニング)を取り入れたAIの活用によりビッグデータの分析時間の短縮や課題抽出などに様々な進展があり、生産性も向上しています。一方で、様々な解析ができるようになったことから、定点観測的な定例レポートではなく、アドホックな質問をデータ分析担当に依頼する機会も増えています。

データ分析担当の作業の50%以上はデータ解析のための準備作業に充てられているともいわれ、信頼のおける分析結果を出すためには必須の作業となっています。アドホックな質問の増加・集中は、これらの重要な整備作業を停滞させビッグデータ分析結果の信頼性を損なうリスクがあります。一方で、重要な整備作業を優先させると、ビジネス担当の分析結果の入手が遅れることとなり、事業上の機会損失を発生させてしまうかもしれません。

チャットボットによるサポート

2020年7月9日に、Googleが「Data QnA」を発表しました。Google Researchで開発しているAnalyzaシステムを活用して、Google Big Queryで取り扱うビッグデータから自然言語の質問を通じて回答を得られるサービスです。

Data QnAはビジネス担当からの「先月の製品Aの売上状況は?」のような問いに対して、解釈結果とデータ操作言語(SQL)の両方の結果を返せるとのことです。もし解釈が違っていれば、複数の解釈候補を表示させてから選択させることもでき、あるいは自然言語の質問を繰り返してSQLを作成することも可能なようです。

このData QnAの動作は、まさにチャットボットです。データ分析担当への質問をまずチャットボットにすることで、ビジネス担当はすぐに知りたい情報が入手できますし、データ分析担当はより重要な業務に集中できます。

Data QnAを使わなくても、同種のチャットボットを構築することはできます。
自然言語でどこまでデータ分析結果を回答させられるかはBIツール側でのアプリケーションインターフェイス(API)仕様に依存しますが、「よくある質問と回答(FAQ)」を蓄積していくようにビジネス担当の質問と対応する分析回答を蓄積していくことにより、チャットボットが徐々にデータ分析担当の負荷を軽減していくようになります。

ビジネス担当による分析傾向をチャットボットのログから把握できるようになってくると、データ整備作業にも役立てられるようになり、ビッグデータの利活用をより拡充することが可能になるでしょう。

ビッグデータ分析用チャットボット
ビッグデータ分析用チャットボット

プロフィール

TM
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ボットフィッター。エンジニアではなくフロントからバックオフィスまでの幅広いビジネス経験を活かした各種ボットの企画提案から導入運用までサポート。ECサイトにおける接客ボット、社内人材情報解析照会ボット(人探しボット)、問い合わせ自動応答ボットなど。