チャットボット運用における課題とその解決策
社内向け、あるいは社外のお客様向けに問合せチャットボットを導入したのはいいけれど、なかなか使ってくれないという企業も少なくないようです。 チャットボットは導入して終わりではなく、継続的な運用を行い、利用者の課題に解決できるチャットボットに育てていくことが重要です。
今回は、チャットボット導入後の運用における課題とその解決策をご紹介したいと思います。
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1、チャットボット運用における課題
運用において、よくある課題が次の4つです。
ターゲット層とチャットボットとの親和性が低い
まずは、そもそもチャットボットのユーザーとして想定していた層とチャットボットに親和性がなかったために利用されないという課題です。
たとえば、日頃あまりデジタル機器やWebサイト、チャットタイプのSNSなどを利用しない層だったり、問い合わせの手段として電話が一番手っ取り早いと考えている層だったりする場合、いくら時間と費用をかけてチャットボットを整備したところで、ユーザーの利用は見込めません。
チャットボット導入を検討する段階で、ターゲット層のインサイトを調査・把握しておくことが大切です。その結果、チャットボットの利用にハードルがないと判断できた場合のみ導入・利用することをおすすめします。
FAQなどの回答精度の低さ
次に、チャットボットが返す回答がユーザーの質問としっかり噛み合っておらず、回答精度が低いという課題です。
この原因は多くの場合、チャットボットを稼働する前の段階で用意したFAQ(よくある質問とその回答)そのものにあります。たとえば、用意されたFAQがしっかり精査されていない、FAQの数が少な過ぎるなどが考えられます。
また、どんなにFAQの精度を上げても、チャットボットだけでユーザーが求めるすべての回答を返すことは困難なため、有人対応への切り替えの動線も設けておく必要があります。
さらに、登録しているFAQの一覧が見えるページを用意していると尚良いです。ユーザはボットの精度が悪くて回答が見つからないのか、そもそもFAQが登録されていないから見つからないのか判断できないため、このようなページを用意するとユーザの不満を解消できる場合があります。
肝心の疑問点まで解決できない
3つ目は、チャットボットの回答は質問と嚙み合っているものの、ユーザーが知りたい詳細情報が得られないという課題です。
たとえば、社内ヘルプデスクでの活用を行っており、社員がある手続きについて知りたい場合、どのフォーマットで書類を作成すれば良いかまではわかっても、その先の具体的な記入方法や注意事項など、細部の疑問が解消できないなどのケースが考えられます。
得られる情報が中途半端で、結局は疑問を解消できないため、ユーザーはその後、チャットボットを利用しなくなるでしょう。
改善のためのメンテナンスがされていない
チャットボットは、導入したら終わりではなく、そこからユーザーの利用状況や回答状況などのデータを元に、改善を行っていくことが重要です。
たとえば、そもそもチャットボットがユーザーにあまり利用されていなかったとします。
この場合、まず上記のようにターゲット層とチャットボットの親和性が低い可能性があります。リサーチした上でチャットボットを継続するかどうか判断する必要があるでしょう。
もしくは、チャットボットの運用スタートの告知が不十分で、ユーザーに伝わっていない可能性もあります。
この2つが問題なかったとすれば、「FAQなどの回答精度の低さ」「肝心の疑問点まで解決できない」でお伝えしたようなことが原因かもしれません。
チャットボットの運用を開始した後で、メンテナンスを行わなければ、このようなユーザーにとっての不便さを放置してしまうことになります。チャットボットの運用を開始したら、定期的にログ情報などを分析して改善のためのメンテナンスを実施することが大切です。
2、問合せチャットボットの運用は「未解決」情報が重要
上記のうち、ユーザーがチャットボットを利用してくれているのに、求められている回答を返せなかったケース、つまり「未解決」に焦点を当ててみましょう。
解決できなかった場合の対処
まず、運用のポイントに入る前に、チャットボットのシナリオにおいて、解決できなかった問い合わせに対する対処についてです。
利用者からの質問に対し、「わかりませんでした。」という返信で終わってしまっているようなことはないでしょうか。当然ながら、チャットボットは万能ではないので、利用者が入力した内容だけで、全ての問い合わせに解決できるわけではありません。
そのような場合、
- 類似する質問候補を表示する
- 他の言い方で再度入力してもらう
という対処を行っているかと思います。
ただ、これだけでも利用者の課題を全て解決するということは難しいです。利用者は「解決したい課題」を抱えていますので、たとえチャットボットだけで解決できない場合でも、問合せフォームのリンクを表示したり、オペレータへ切り替えるなどにより、なんとか解決できるように誘導することが大切です。
また、多くのチャットボットでは、「課題は解決されましたか?」などの質問に「はい(解決)」「いいえ(未解決)」で回答するような工夫をしています。これは、表示された回答で利用者が本当に課題を解決できたかどうか、チャットボット側では判断が難しいためです。この時の「いいえ(未解決)」はぜひ運用に活かす情報として有効活用する必要があります。
3、解決できなかったその理由は?
解決できなかった理由はさまざまあると思いますが、たとえば以下のようなケースが考えられるのではないでしょうか。
- チャットボットが明らかに誤認識をしているケース
- そもそもFAQが用意できていないケース
- 利用者でなければわからないケース
もちろん、それぞれ運用での対処方法は異なります。
1.チャットボットが明らかに誤認識をしているケース
導入前の事前準備を念入りに行っていたとしても、同じ質問に対してさまざまな言い回しで問い合わせがされます。自然言語入力をさせている場合は特に多く、入力された文章の意図を誤判定するケースや、類義語の登録パターンが少ないことにより誤判定をするケース等が該当します。
この場合、実際に入力されたパターンに応じて正しく判定できるよう、チャットボットに学習させていく必要があります。
2.FAQが十分に用意できていないケース
導入当初は、まだまだFAQの登録数が少なく、運用者側が用意できていないケースも多いです。この場合は、徐々にFAQを充実させていく必要がありますが、すぐにチャットボットの回答が用意できない場合は、回答が用意されているサイトへ誘導したり、問い合わせフォームへ誘導し、後から折り返し回答したりする必要があります。
3.利用者でなければわからないケース
利用者側の課題を本当に解決できたかどうか、あるいはなぜ解決できなかったのかは利用者でなければわからないことも多いです。
このケースは、直接利用者自身に確認しないと解決には至らないため、誰が利用したか特定できるケースであれば、後日ヒアリングを行ったり、もし特定できないケースであれば、たとえば「いいえ(未解決)」を選択した後に、なぜ解決できなかったのかを選択式で回答してもらったり、直接チャットボット上で回答してもらうということも有効な手段です。
まとめ
このように、チャットボットは導入して終わりではなく、継続した運用をすることによって、その後の業務効率化へつなげることができるようになります。
ただし、ここで挙げたような運用を行うには、そもそも利用者が解決できなかった理由を、運用者が後から知る手段が用意されていないことには対処ができません。
Bnefitter(ベネフィッター)では、このような運用における貴重な情報を簡単に知る仕組みや、運用の支援を行っています。問合せ対応から解放され、本来の業務に集中できるようなチャットボットの導入を検討してみませんか?
執筆者情報:
CTC Benefitter(ベネフィッター) 開発チーム
CTC コミュニケーションデザイン部 CXソリューション第3課
社内業務のDXを推進するサービスとして豊富な機能と様々なシステム・WEBサービスとの連携を可能とした AIチャットボット Benefitter を提供しています。チャットボットの活用方法や導入事例を伝えていくため、情報を発信しています。