進化を続けるAIチャットボットとビジネス面での活用方法
初めてチャットボットが登場した1966年から60年近くの月日が経過しました。
初期のチャットボットと比べ、現在のチャットボットにはAIが搭載されるなど、大きな進化を遂げており、実用性も高まっています。
本コラムでは、チャットボットの歴史とビジネスシーンにおける活用例をご紹介いたします。
1、チャットボットの成り立ち
「チャットボット」という言葉はITワードとして近年よく聞かれるようになりました。
チャットボットは2016年にFacebookがメッセージ連携機能を公開したことにより、米国を中心に注目度が高まり、爆発的に普及しました。
しかし、当時のチャットボットは主に人工無脳(特定のキーワードを認識し事前に準備したシナリオで会話を成立させるもの)を用いた手法であったため、利用用途が限られ利用者にすぐに飽きられてしまい、残念ながら思うような成果を上げたものは多くありませんでした。
チャットボットの歴史
チャットボットは1966年に生まれました。当時、マサチューセッツ工科大学で計算機科学の名誉教授を務めていたジョセフ・ワイゼンバウム(Joseph Weizenbaum)氏が、「ELIZA(イライザ)」を発表したのが先駆けです。ELIZAは、セラピストとして患者役のユーザーへ応答するものでした。
ELIZAを参考に、さまざまなチャットボットが開発され、日本にもチャットボットが輸入されるようになります。日本語は英語とは異なり、単語同士を区切る「分かち書き」をしません。このため、日本語チャットボットは独自の進化を遂げました。
その過程で人口知能が搭載され、言葉の揺れに対応したり、ユーザーの質問の意図を分析して回答を返せたりするように進化しました。
2、AIとの関連性
そもそもチャットボットが注目される要因となった第三次AIブーム(2000年代~)におけるAIの進化を背景に、AIとチャットボットを組み合わせた「AIチャットボット」は、自然言語解析を行い、利用者の意図を解釈することで以前に比べ自然な会話をすることが可能になりました。
AIはご存知の通り、世界各国の研究機関やGAFAに代表される巨大企業、スタートアップなどが競い合いながら研究開発を進めており、日々進化しています。
AIの進化と共にAIチャットボットもより人間らしく会話をすることが可能になり、問い合わせ対応の自動化(FAQチャットボット)で商用利用が増えてきています。しかし、現時点ではよくある質問など定形化されたQ&Aを中心に利用されており、クレーム対応など臨機応変に対応することは難しく、今後が期待される状況です。
3、次世代チャットボットへの期待
2020年1月末にGoogleが論文発表したAIチャットボット「Meena」は、事前に想定した問答以外に一般常識や前後の会話を認識する人間のような会話ができるというもので、ディープニューラルネットワークに実際のSNSなどで行われた膨大なチャット情報(341GB)を学習することによって実現させているとのことでした。
研究段階であり一般公開されるのはもう少し先になると思いますが、公開され進化が進めば、問い合わせ対応の自動化、販売店員、カウンセラーなど現在の利用範囲の拡大はもちろんのこと、新しい利用のされ方がどんどん広がっていくことでしょう。
4、ビジネスにおけるチャットボット活用例
最後に、ビジネスシーンでチャットボットを活用できる主な用途を3つご紹介いたします。
社内FAQでの活用
情報システム部門や総務部門などのバックオフィス部門が、社員からの問い合わせに対応する社内FAQ。少人数で本業のかたわら対応しなければならないケースが多く、システムの入れ替えや年末調整など、問い合わせが集中するタイミングの残業が課題となっている企業も多いのではないでしょうか。
社内FAQにチャットボットで対応することで、次のようなメリットがあります。
- 問い合わせの窓口を一本化できる
- 24時間・365日対応できる
- マニュアルやFAQサイトなどへ誘導できる
- パスワードの初期化などを自動化できる
まず、それまで電話やメール、口頭とバラバラに受けていた問い合わせをチャットボットに一本化することで業務効率化につながります。
一方、問い合わせる側の社員にとっても、就業時間外や休日などに問い合わせて回答が得られるようになり、利便性が向上します。
また、チャットボットでマニュアルの保存場所やFAQサイトのパスを案内することが可能になりますし、社内システムやRPAなどと連携させることでパスワードの初期化など簡単な業務を自動化することもできます。
マーケティングでの活用
チャットボットは、顧客や一般消費者に対するマーケティングにも活用できます。
Webサイトやチャットツールなどに組み込んで、ユーザーの質問に回答したり、マッチした情報の提供を行ったりすることで、商品・サービスの購入を促進することが可能です。
また、ユーザーに対してチャットボットを通して質問やアンケートを実施し、回答を集計・分析することで、市場調査を行うこともできます。
自社キャラクターとのコミュニケーションを通して親近感を持ってもらい、ブランディングを図るといった活用方法もあります。
問い合わせ対応での活用
「社内FAQでの活用」とは別に、社外の既存顧客や見込客からの問い合わせに対応する際もチャットボットは有用です。
特に、疑問や不具合を解消したくて緊急で問い合わせを行う既存顧客へのサポートサービスを提供するのに適しています。曜日や時間に関係なく、24時間・365日、問い合わせを受け付け、スピーディに回答を返せるため、顧客満足度の向上に貢献します。
よくある簡単な問い合わせへはチャットボットが対応し、難易度の高い複雑な問い合わせの場合はオペレーターへ切り替えることで、サポート業務の効率化にもつながります。
5、まとめ
チャットボットの歴史と、ビジネスシーンでの活用例をご紹介いたしました。
1966年に生まれたチャットボットは、2000年代からの第三次AIブームの影響を受け、AIを搭載することで、言葉の揺れに対応したり、ユーザーの質問の意図を汲み取って回答を返せたりするまでに進化しました。
ビジネスシーンにおいては、社内FAQやマーケティング、問い合わせ対応を中心に活用が広がっています。
業務効率化や顧客満足度などの向上につながるチャットボット。未導入の企業様は、課題解決のために積極的に導入を検討されることをおすすめいたします。
執筆者情報:
CTC Benefitter(ベネフィッター) 開発チーム
CTC コミュニケーションデザイン部 CXソリューション第3課
社内業務のDXを推進するサービスとして豊富な機能と様々なシステム・WEBサービスとの連携を可能とした AIチャットボット Benefitter を提供しています。チャットボットの活用方法や導入事例を伝えていくため、情報を発信しています。