チャットボットを問合せ一次窓口とする社内ユーザーサポートDX

社内サービスデスク担当・情報システム担当者へのヒント
- チャットボットを一次窓口にしたセルフ解決促進と有人エスカレーション
- インシデントに応じた問合せ導線のコントロール
チャットボット導入後も成果が出ない要因
チャットボットブームも定着期へと移行しつつあり「チャットボットを導入して社内サポート窓口業務4割削減」というような成果記事を目にする機会も多くなりました。しかしながら、実際にはツールとしてのチャットボットを導入しただけでは、そこまでドラスティックな成果をあげることはできません。特に下記の様な状況をそのままにしている場合です。
- サポート窓口の電話番号やメールアドレスを従来どおり表示している。
- チャットボットをヘルプデスクとは独立したFAQ検索ツールとしてだけ利用している。
- チャットボット利用履歴とサポート窓口利用履歴を統合したKPI管理ができていない。

電話やメールをかけることが習慣になっているユーザーは従来どおりの問合せチャネルを利用しがちです。また、チャットボットを独立したツールとして運用する場合、ユーザーの期待どおりの応答をさせるにはあらかじめ豊富なFAQを登録したり、問題切り分けのためのトークスクリプトを丁寧に作りこんで回答精度を高めたりするなど、事前の準備が必要です。精度が中途半端な状態でチャットボットを公開してしまうとユーザーの失望を招くため、後でいかに精度を高めようともチャットボットに戻ってきてはくれません。また、チャットボットの利用状況とサポート窓口の効率化は双方のユーザー行動を統合して検討する必要がありますが、会社の規模が大きくなるほど担当組織や担当者が増えるせいか、個別管理での最適化になりがちです。
サポート窓口とチャットボットの統合
チャットボットの認知率や利用率を上げる効果的な導入方法があります。チャットボットを「唯一」の問合せ窓口として公開し、そこから有人エスカレーションを行うという導線にしてしまうことです。サポート担当の電話番号やメールアドレスはボット経由でなければ表示しない形に変更します。ユーザーのセルフ解決需要にも答えつつ、ワンフェイスでサポート担当へのエスカレーションも実現できますし、チャットボットの認知率も一気に高まります。
担当者にエスカレーションする際には、サポート担当のための問題切り分け用の質問をチャットボットにさせることで、従来の電話やメールよりも問題解決時間を短縮できる期待も高まります。

統合運用のベネフィット
チャットボットを一次窓口として運用することには下記のような利点があります。
1. ユーザーのセルフ解決機会が100%化
ユーザーは電話やメールでの問い合わせに頼らずに、まずはチャットボットを使った自己解決を必ず試みることができます。チャットボットを最初の問題解決手段として認識していなかったユーザーへの周知にもなり、チャットボット利用が促進されます。
2. 窓口問合せの削減
セルフ解決機会が増えることにより有人問合せの減少が期待できます。
3. ボットを利用した窓口サポートの効率化
ユーザーが有人対応へエスカレーションした時、サポート担当者はそれまでのボットでの会話履歴を閲覧したり、ボットがあらかじめ確認した切り分け用の情報を活用することもできるため、問題解決をより円滑に行えます。
4. ユーザーや問合せ傾向の統合分析と対応
個別のユーザーの問合せ行動について、チャットボットの利用ログと有人問題管理で統合して分析することが容易になり、サポート業務の改善に役立ちます。
例えばPCの設定やOSの不具合などでは電話での初動対応が必要なので、限りある電話回線はそれらのインシデントに優先的に回すべきですし、緊急時の連絡先電話番号は音声自動応答付で開放し、電話応対が必要なものは窓口へ、そうでないものはボット(ボットからの有人サポート)へ誘導するような切り分けを戦略的に検討できるようになります。
統合運用のリスク対策
サポート窓口とチャットボットの一体化には様々な利点がありますが、次のようなリスクもあるので備えも必要です。
- チャットボットに障害が発生するとユーザーが問い合わせる術がなくなる
- サポート窓口によるFAQ整備・利活用による継続的な改善意思が必要
- ユーザーがPCやメール自体を使えない場合の代替手段の確保
チャットボットと窓口一体化運用の実現や上記リスクへの対策など、Benefitterサービスにて適用実績がありますので、ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
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チャットボットの導入や業務改善コンサルティングサービス提供に関してより詳しい紹介をさせていただきます。


執筆者情報:
CTC Benefitter(ベネフィッター) 開発チーム
CTC 情通第二本部 システム技術統括部
社内業務のDXを推進するサービスとして豊富な機能と様々なシステム・WEBサービスとの連携を可能としたBenefitterを提供しています。チャットボットの活用方法や導入事例を伝えていくため、情報を発信しています。