チャットボットを問い合わせ窓口とするヘルプデスクのメリットとは?
社内外のユーザーに向けた情報提供を中心に、さまざまな用途のあるチャットボット。
今回は、その中でも、社外の顧客や見込客向け、社内の従業員向けの両方に活用できる「ヘルプデスク」に焦点を当て、チャットボットを活用するメリットと課題をご紹介いたします。
目次
1、働き方の変化に合わせたヘルプデスクのあり方
働き方改革の推進やコロナ禍、東京オリンピック・パラリンピック開催などの影響で、首都圏を中心にテレワークが広がりました。オフィス外で業務に就く従業員が増えてくると、受電への対応業務が難しくなってきます。転送サービスなどもありますが、自宅でお客様とやり取りすることで情報漏えいのリスクが上がりますし、逆に、従業員の家族などの話し声などが入ってしまえば悪印象を与えてしまう恐れもあります。
受電に対応する従業員が少なければ、問い合わせの電話がつながりにくくなり、顧客満足度・従業員満足度が低下しかねません。
また、働き方改革で長時間労働・残業が抑制されたことで、対応時間にも制約が出ています。より短い受付時間の中で問い合わせなければならなくなり、ユーザー側の利便性は低下してしまいます。
ヘルプデスクサービスに対する満足度を保ちつつ、働き方の変化に合わせるには、人が対応しなければならないお問い合わせの数そのものを減らす取り組みが必要です。
2、ヘルプデスクが抱える課題
ヘルプデスク業務は、働き方の変化への対応のほかにも、さまざまな課題を抱えています。
たとえば、すでにWebサイト上などでFAQやマニュアルを整備しているにも関わらず、それらを確認せずに問い合わせを行うユーザーが後を絶たないこと。その結果、ヘルプデスクには似たよう簡単な質問が多数寄せられ、業務効率を下げてしまいます。
逆に、ヘルプデスクの人員の中でもエキスパートにしか対応できない、難易度の高い問い合わせもあります。これは、業務が属人化しているということなので、エキスパートが退職や異動でいなくなってしまうと、ナレッジが消失してしまいます。
ほかに、特に社内ヘルプデスクの場合、問い合わせ手段が電話だったりメールだったり口頭だったりとバラバラに寄せられることなども、業務効率を悪化させる要因になっています。
3、ヘルプデスクの業務負担を減らすには?
このような課題を抱えている上に、電話対応ができる従業員が減っているとなれば、ヘルプデスク業務にかかる業務負担はさらに重くのしかかってきます。
ヘルプデスクの業務負担が増えれば、ヘルプデスク担当者が大変になるだけでなく、一人当たりが対応できる問い合わせ数が減り、顧客満足度・従業員満足度の低下にもつながってしまいます。
ユーザーサポート業務の効率化
このようなヘルプデスクの業務負担を減らすためには、ユーザーサポート業務を効率化する必要があります。
数多く寄せられる簡単な質問はテクノロジーで対応し、オペレーターは、人でないと対応できないような複雑で難易度の高い問い合わせの対応や、ヘルプデスク業務そのものの質を向上させるような業務に集中させます。たとえば、属人化を解消できるように、ヘルプデスク業務のマニュアル整備など、社内にナレッジを蓄積できるような取り組みです。
4、チャットボットをヘルプデスクに導入する
ユーザーサポート業務を効率化する方法としておすすめしたいのが、チャットボットの活用です。FAQやマニュアルを確認するのが面倒で電話をかけてしまうユーザーも、チャットボットがあれば、テキスト入力や選択肢を選ぶことで簡単に問い合わせができるようになり、余計な受電を抑制できます。
また、チャットボットの場合、電話と違い、いつでもどこからでも問い合わせを行え、回答もスピーディに得られるため、顧客満足度・従業員満足度の向上が期待できます。
チャットボットによっては、単なる問い合わせへの回答だけでなく、パスワードのリセットなど簡単な対応を自動化することもできるため、一層の業務効率化が期待できます。
5、チャットボットをヘルプデスクに導入するメリット
チャットボットをヘルプデスクに導入するメリットを、もう少し詳しく見ていきましょう。
チャットボットでユーザー問い合わせが解決
まずは、チャットボットが問い合わせに対応することで、ユーザーの疑問や不満を解消できる点がメリットです。
上でもお伝えしたように、チャットボットでヘルプデスクに対応することで、ユーザーにとっても利便性が向上するというメリットがあります。さらに、詳しい情報が掲載されたURLを紹介したり、ワークフロー承認やパスワードリセットなどの簡単な対応とも連携できます。また、電話の場合一度聞いた内容を忘れてしまうと、再度電話をする必要がありますが、チャットボットであれば、チャット画面を見返すことができるのもメリットの1つです。
問い合わせの対応数が減り、業務の効率UP
チャットボットが対応してくれる分、人が対応しなければならない問い合わせの数を抑制できる点もメリットです。
何度も寄せられる、似たような簡単な問い合わせに対応する手間がなくなった分、人にしか対応できないような難易度の高い問い合わせへの対応や、ヘルプデスク業務の属人化の解消、サービスレベルの向上など、より高度で重要な業務に注力できるようになります。
ユーザーの問い合わせ傾向の統合分析と対応が可能
チャットボットにはデータ分析機能のついたものが多く、ユーザーの問い合わせの多い時間帯や多かった問い合わせ内容・ジャンル・ユーザがチャットボットで解決に至ったのかなど、チャットボットを通して得られたさまざまなデータを蓄積・分析することで、チャットボットを改善することができます。
シナリオや回答内容の改善、新たな質問と回答の追加など、よりユーザーのニーズに合ったチャットボットへと育てていきましょう。
6、チャットボット導入後も成果が出ない要因
ヘルプデスクにチャットボットを導入したものの、思うように成果が出ないケースもあります。その主な要因は、次の3点です。
- サポート窓口の電話番号を従来通り表示している。
- チャットボットをヘルプデスクとは独立したFAQ検索ツールとしてだけ利用している。
- チャットボット利用履歴とサポート窓口利用履歴を統合したKPI管理ができていない。
チャトボットを開設しても、従来通りの問い合わせ先を表示していれば、ユーザーからの問い合わせは抑制できません。思い切って電話番号を表示をやめ、チャットボット経由でのみ、問合せを受け付ける形と取ると、電話問合せを抑制することができます。その場合、チャットボットに「ヘルプデスクに問合せ」などのボタンを設け電話番号やメールアドレスを表示したり、有人チャットへ切り替える導線を作るという対応を合わせて検討する必要があります。
また、チャットボットをヘルプデスクとは独立したFAQ検索ツールとしてだけ利用している場合、「FAQでの検索は面倒だ」と考えるユーザーはこれまで通りに電話をかけてきてしまいます。FAQに用意されていない内容を解決できないため、「チャットボットは使えない」というマイナスイメージを植え付けてしまうことにもつながります。
チャットボットとヘルプデスク業務の利用履歴を統合してKPI管理しなければ、チャットボットがどのくらいヘルプデスク業務の効率化に貢献しているかを把握できず、改善につなげることもできません。
もし、チャットボットを導入後に成果が出ていない場合は、まず上記3点を疑い、検証してみてください。該当する場合は改善を行いましょう。
7、チャットボット運用のリスク対策
サポート窓口とチャットボットの一体化にはさまざまなメリットがありますが、次のようなリスクもあるので、備えも必要です。
- チャットボットに障害が発生すると、ユーザーが問い合わせる術がなくなる。
- サポート窓口によるFAQ整備・利活用による継続的な改善意思が必要。
- ユーザーがPCやスマホを使えない環境にいる場合の代替手段の確保。
チャットボットの利用には、デバイスやインターネット回線が必要です。このため、こうした環境を利用できない場合はヘルプデスクも利用できなくなります。チャットボットの障害が発生した場合も同様です。こうしたケースを想定して、代替手段を用意しておく必要があります。
また、ユーザーが最初にチャットボットを利用した際に満足のいく回答が得られなければ、その後、またチャットボットを利用しようという気にはならないでしょう。そうなれば、せっかく導入したチャットボットが利用されず、それまで通り電話での問い合わせが続くことになります。チャットボットは、運用しながら改善を加えてPCDAを回せるツールですが、提供当初の回答精度はある程度、高めておく必要があります。
8、まとめ
テレワークや残業の削減により、ヘルプデスク業務も効率化が求められています。この機会に、従来のヘルプデスク業務が抱えていた、さまざまな課題をまとめて解消してしまいましょう。
ヘルプデスク業務にチャットボットを導入することで、オペレーターや従業員が対応しなければならない問い合わせ数を減らすことができ、ユーザー側も利便性が向上します。
ただし、チャットボットでヘルプデスク業務を運用することによるリスクもあるため、対策を取った上で活用してください。
本件に関するお問い合わせ
チャットボットの導入や業務改善コンサルティングサービス提供に関してより詳しい紹介をさせていただきます。
執筆者情報:
CTC Benefitter(ベネフィッター) 開発チーム
CTC コミュニケーションデザイン部 CXソリューション第3課
社内業務のDXを推進するサービスとして豊富な機能と様々なシステム・WEBサービスとの連携を可能とした AIチャットボット Benefitter を提供しています。チャットボットの活用方法や導入事例を伝えていくため、情報を発信しています。