大学には、中学校や高校校のように担任の先生がいるわけではないので、学生が各種手続きをする場合や手続きに関する質問がある場合には、学生課や教務課などの、窓口となっている大学職員のところに足を運ばなくてはなりません。
特に、履修登録期間などは、窓口が混雑するため、順番を待つ学生たちが列を作って待っている…という風景も珍しくありません。
そこで、活用したいのが、24時間365日、いつでも手続きや疑問の解消が行えるチャットボットです。
今回は大学でのチャットボット利用シーンについて、ご紹介します。
大学での主なチャットボット活用方法として、「窓口への質問削減」「研修プログラムなどの申し込みができる」「学習のサポートをするバーチャルTA」の3つを挙げることができます。
窓口への質問は、入学シーズン、履修登録期間、試験期間などに集中します。このような時期は、冒頭でお伝えしたように、学生課などの窓口に学生が行列をつくることになります。これは、学生にとってもストレスですし、対応する職員も手間がかかり、その間、ほかの業務が進まないため、効率的ではありません。
そこで、これまで対面で受けていた問い合わせをチャットボットに置き換えることで、24時間365日、対応ができるようになります。
これにより、学生はいつでも疑問を解決することができるようになり、利便性が向上します。
また、大学職員の業務の負担を削減することにもつながります。
大学では、研修や留学などのたくさんのプログラムが用意されていますが、自分が利用できるすべてのプログラムを知っている学生は多くありません。
たとえば、芝浦工業大学が学生の利便性と大学職員の働き方改革実現のために導入した「SIT-bot」の事例があります。チャットボットを導入することで、留学プログラムの参加者が昨年比45%も増加したというデータがあります。学生課に問い合わせに行くのが面倒だという理由で参加していなかった学生に対し、チャットボットを通じて情報を提供し、申し込みページに誘導することで、増加率アップにつなげました。
大学では、同じ授業を多くの学生が同時に受講します。そのような中で、質問をしたいのに、みんなの前で発言するのが恥ずかしかったり、質問できるタイミングがなかったりして、質問できずにいる学生も少なくないでしょう。
そこで、チャットボットを用いたバーチャルTA(ティーチング・アシスタント)を導入することで、学生へのサービス向上を図る方法があります。
近畿大学では、チャットボットを用いた学生からの質問に答えるバーチャルTAを導入しています。学生は講義中や、講義中でない時間など、好きな時間にPCやモバイル端末から、質問ができ、その場で疑問を解決しながら学習を進めることができます。
このようにチャットボットは、学生の利便性向上や学習のサポートのために用いることができます。
チャットボットの具体的な活用方法については、次章の事例でご紹介いたします。
大学で活用されているチャットボットの導入事例として、ここでは4つの大学での事例をご紹介いたします。
駒沢大学では、在学生約1万4,000人から年間5,000件の問い合わせが寄せられていたといいます。
しかし、窓口の問い合わせの約8割が、学生に配布している資料や大学のホームページ、学生のマイページなどに記載されている内容でした。これらの問い合わせ先として、窓口での確認が最初の手段になっている点が課題でした。
そこで、AI型チャットボットを在学生向けマイページから利用できるようにしました。これにより、24時間365日、時間場所を問わず疑問を解決できるようになり、学生と大学、双方にとって便利な仕組みとして、利用されています。
金沢大学では、在学生や入学希望者などから寄せられる問い合わせへの対応業務が、大きな負担になっている点が課題となっていました。
もちろん、Webサイトを整備して必要な情報を掲載していましたが、Webサイト上の情報量が増えるほど、Webサイトの訪問者が自分の欲しい情報が記載されたページにたどり着きにくくなるという課題が浮き彫りになったといいます。Webサイトを見ても疑問を解消できなかった訪問者が、結局、電話や窓口で問い合わせるため、Webサイトだけでは解決できませんでした。
そこで、Webサイト上にAI型チャットボットを設置し、よくある質問への回答をチャットボットで対応することにしました。すると、電話と窓口での問い合わせのうち、Webサイトに記載がある情報についての質問が大幅に減少したといいます。
「学習のサポートをするバーチャルTA」でも近畿大学の導入事例をご紹介しましたが、バーチャルTAとは別に、2022年3月から新たにSlackにもAI型チャットボットの導入を開始しました。
大学院、短期大学を含む全学生と教職員の計3万6,000人を対象に、授業などで利用するシステムなどに関する問い合わせへの対応を行うといいます。
同大学は、チャットボットの導入により、スタッフの負担を軽減して業務効率化を図ることを狙いとしています。
獨協大学では、学生や教員、保護者、卒業生、さらには企業からも問い合わせが寄せられ、内容によって各セクションで対応してきたといいます。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、直接、窓口での問い合わせ対応が難しい中、メールや電話の問い合わせ件数が激増しました。この問い合わせへの対応負担を軽減すべく、チャットボットを導入しました。
導入の結果、問い合わせ件数は1/5~1/3ほどまで削減できたといいます。
大学の学生課、教務課、就職課といった事務方では、学生を中心とするさまざまな関係者から、日々、膨大な数の問い合わせを受け、対応に追われています。これに人手で対応することは、大学側にとっても業務効率を妨げますし、問い合わせを行った学生や教員などにとってもストレスのかかるものです。
そこで、チャットボットの活用をおすすめします。上記でご紹介したように、FAQやバーチャルTA、プログラムへの申し込みなど、アイデア次第で活用の幅は広く、WebサイトからLINEやSlack、Teamsなど、さまざまな環境と連携することで学生側の利便性はさらに向上します。
株式会社伊藤忠テクノソリューションズが開発したAIチャットボット開発プラットフォームBenefitterは、お客様の用途にあったチャットボットの開発を得意としていますので、上記で紹介したチャットボットを実現することができます。
また、外部API連携に関しても様々なサービスと接続することができますので、複数のAI・お客様の業務システムやWebサービスと接続することができます。Benefitterを使って、自由自在にチャットボットを作成してみませんか?