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Webサイトを訪問中のユーザーが閲覧をやめて移動してしまうことを「離脱」と呼びます。Webマーケティングでは「離脱率」は重要なKPI(重要業績評価指標)の一つです。
リスティング広告や広告メディアを利用してせっかくサイトに集客しても、ユーザーがそのまま離脱してしまっては機会損失も大きいですし、広告費も割高となってしまいます。ゆえにユーザーがなるべく長くサイトに留まって、商品やサービスに興味を持っていただく工夫が重要となります。そのためには、できるだけ短時間で効果的な情報提供が必要になりますが、既にランディングページ制作やバナーデザインのメソッドは極められてきているため、それらに慣れてしまったユーザーにはさらなる「刺激」が必要です。
チャットボットは、そのような離脱防止にも活用することができます。また、チャットボットには「対話形式で紹介した情報がクリックされやすい」という傾向もみられるため、離脱防止だけでなくWeb接客の顧客体験自体の向上も期待できます。
離脱防止を期待してチャットボット・ソリューションを選択するなら、下記の機能の有無や代替手段が用意可能かどうかを確認します。
離脱防止が目的なので、まずボット自体を目立たせる必要があります。待機中のアイコンがアニメーションで自己主張するぐらいの演出は必要でしょう。
また、興味を引かせるには「役にたちそう」「面白そう」という好奇心を刺激する必要もあります。時間経過やユーザーのサイト内での行動をトリガ―にして自律的につぶやいたり話しかけたりする機能は役に立ちます。さらに、あらかじめボットを外部のニュースサイトや時事トレンドを提供するサービスと接続して「独り言」をつぶやかせたり、サイト内でよく利用されるコンテンツをログデータから類推してお奨めしたりなど、バックエンドでのシステム連携機能があると、人手によらずに「目立たせる」バリエーションを拡充できるため、サイト担当者の工数削減にも役に立ちます。
ユーザーがボットとの会話を継続している間は、ユーザーのセグメントを類推するための情報を効率的に取得していくチャンスです。このためには営業担当や店員が使いこなしているトークスクリプトに相当する会話シナリオを設定できる機能が重要になります。ユーザーの入力したテキストや選択した情報を組み合わせて、複雑な条件からでも会話を最適化していける柔軟なパーソナライズ機能が必要です。
さらに、ユーザーの滞在時間が期待値に達した場合、営業担当者やオペレーターにチャットを切り替えられるとさらに効果的です。チャットボットの対話能力にはまだ制約がありますし、接客をクローズに導く力は、リアルな人間にはまだ及びません。リアルタイムでの対人チャットに移行するためには、さらに下記の様な機能も必要です。
特に最後の項目はボット接客から担当者による接客へシームレスに移行するためには重要です。
本記事の全ての機能をひとつのチャットボット・ソリューションだけで満たす必要はありません。既に導入済みの接客やコールセンターの仕組みと組み合わせることもできるかもしれません。その場合のチャットボット・ソリューションには、複数のシステムと統合できる機能に優れているかどうかが求められます。導入や保守においてカスタマイズ・コストや時間を節約できます。
システム統合性の高さは離脱防止に直接貢献する機能ではありませんが、チャットボット・ソリューションの選択時には考慮にいれておきたい項目です。
TM
ボットフィッター。エンジニアではなくフロントからバックオフィスまでの幅広いビジネス経験を活かした各種ボットの企画提案から導入運用までサポート。ECサイトにおける接客ボット、社内人材情報解析照会ボット(人探しボット)、問い合わせ自動応答ボットなど。