
チャットボットのシナリオ作成のポイントと作り方
チャットボットには大きく分けて「ルールベース型」と「AI(機械学習)型」の2種類があります。
「ルールベース型」のチャットボットは、あらかじめ設定しておいたシナリオをある条件に基づいて選択していくことで対話を進めて目的の会話にたどり着くことができます。「シナリオ型」チャットボットともいわれています。一方「AI(機械学習)型」のチャットボットは、人工知能(AI)を活用して、決められた言葉や選択肢からだけでなく、ユーザが入力した言葉をもとに、文章全体を解釈して近いと思われる回答を導き出すことができるのが特徴です。各チャットボットソリューションによって、どのように回答を導き出すかの定義は異なりますが、あらかじめ大量の文章データを使って事前に学習させておいたモデルを使っているケースが多いです。こちらは「一問一答型」チャットボットともいわれています。どちらのチャットボットが良い、悪いというものではなく、目的に応じて使い分けたり、あるいは「ハイブリッド型」として、両方のメリットを上手く活用して、最適なチャットボットソリューションに作り上げていくことも可能です。
ユーザからの問い合わせや要求に対して、チャットボットが返信をするまでの一連の流れは、あらかじめシナリオとしてチャットボットに登録しておく必要があるのです。チャットボットの導入目的に応じて、必要となるシナリオの内容は異なります。ですので、導入するチャットボットソリューションは、このシナリオテンプレートがどれだけ充実しているかや、どれだけ柔軟に、あるいは複雑なシナリオが登録できるかがポイントとなります。シナリオが修正できない、あるいは修正するたびにカスタマイズが発生したり、複雑なオペレーションが発生するようなことがないソリューションをおすすめします。
今回は、チャットボットのシナリオの作成についてご紹介したいと思います。
シナリオ作成の前に押さえておくべきポイント
シナリオ作成の前に、まず押さえておくべきポイントをいくつかご紹介します。
導入目的の再確認
シナリオを作成していくうちに、本来の導入目的から逸れてしまうケースが少なくありません。何のためにチャットボットを導入するのかを改めて確認しておきます。
凝りすぎない
凝りすぎたシナリオを作成することで、ユーザの操作性が失われてしまっては意味がありません。操作性はシンプルで分かりやすいことが重要です。
複雑にしすぎない
チャットボット導入時は狭い範囲で導入し、運用後に徐々に利用範囲を広げるというのが一般的です。初期導入時点の範囲に合わせた複雑なシナリオにしてしまうと、その後の利用拡大の妨げになったり、活用範囲が限定的になってしまう可能性があります。
今後の活用範囲も意識しながらシナリオを検討し、運用しながら改善していくことを心掛けるとよいです。
シナリオの作成
チャットボットのキャラクター設定
どのようなユーザがどのようなシーンで使うかを想像しながら、チャットボットのキャラクターを設定します。人、動物、架空のキャラクターなど、利用シーンに合ったキャラクターを設定します。また、言葉遣いについても丁寧な言葉遣いなのか、少しくだけた言葉遣いなのかを決めておくことで、シナリオ作成の一貫性を保つことができますので、初めに決めておくことが重要です。
ユーザの問合せシーンを想像して、回答を作成
ユーザがどのようなシーンでチャットボットを使うかを想像しながら、回答を作成します。FAQチャットボットであれば、質問と回答のセットを揃えます。既にウェブサイトで掲載しているFAQがあればそれを活用するのもよいですが、問合せシーンに合っているか、言葉遣いに統一性があるか、質問文が口語調で長くなっていないか等の見直しが必要です。
既に、よく問合せのある内容が分かっている場合は、それが目に留まるようにしたり、検索結果に優先的に表示する等工夫することで、解決率を向上させることが可能です。
たくさんの回答がある場合、カテゴリ分けを行い「ルールベース型」にしたり、「ハイブリッド型」にすることも検討します。その場合、ユーザには選択肢を表示させることになりますが、分かりやすく簡潔な言葉を使うようにします。また、選択肢の階層は深くなりすぎないように注意します。
動作確認
シナリオを作成したら、想定した通りに動作するかを必ず確認します。この時、シナリオを作成した人だけではなく、複数の人に使ってもらうようにします。思わぬ操作をしたり、いろいろな問合せの言葉遣いがあることに気づくことができるためです。回答自体の不足や、文言の見直し、回答の言い回しの追加学習など、シナリオに反映させて、精度を高めます。
運用後のシナリオ改善
運用を想定して作成したシナリオであっても、それを導入したからと言って100%満足できるチャットボットであるとは言えません。なぜなら、ユーザが満足できているかどうか、目的を達成できているかは導入してから実際に利用されてみないと分からないからです。いくら精度の高い人工知能(AI)を導入していても、それは変わりません。導入しただけで終わらせてしまうと、仮にユーザが満足のいくチャットボットになっていない場合、そのうち使われなくなってしまうことでしょう。
ですので、運用をしながら、ユーザの使い方を分析したり、回答の正答率を分析することで、シナリオやFAQデータの改善を行っていく必要があります。
主な分析ポイント
- 回答自体に満足しているかどうか
- シナリオの途中での離脱されていることはないか
- 専門用語などのわかりにくい用語が使われていないか
- 選択肢は十分であるか
- よく検索されているFAQがあるか
これらの分析が視覚的に確認できるチャットボットソリューションを選定するということも重要ですね。回答自体の満足しているかどうかは、チャットボットのシナリオの中でユーザに適宜確認するようなシナリオを作成することもおすすめです。
改善点が見つかったら、速やかに修正を行いましょう。特に導入直後はユーザの印象が大切です。すぐに改善されるチャットボットであれば、ユーザのチャットボットに対する期待も持てますので、使い続けてもらえるチャットボットになります。定期的にチャットボットの分析と改善を繰り返し、導入目的を達成できるチャットボットに育てていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?複雑そうで、1から作るのは難しそうにみえるチャットボットのシナリオですが、BenefitterではあらかじめFAQシナリオのようによく利用されるテンプレートが用意されていますので、登録するFAQデータが既にそろっているようでしたら、すぐにチャットボットを導入することが可能です。もちろん、運用後の実績を見ながら、より精度の高いシナリオへの改善していくことも可能です。
複雑な条件設定や、複数の外部サービスとの接続を行うようなシナリオでも、管理画面を使ってお客様ご自身で操作が行えますので、安心してご利用いただけます。また、シナリオ作成そのものをお引き受けすることも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。